会員の声   もどる


「優秀ポスター賞受賞にあたって」
豊橋技術科学大学 生産システム工学専攻
草野 雄也

第11回関西表面技術フォーラムにおいて、「化学溶液析出法を用いたZnO系薄
膜の形成」というタイトルで発表をさせていただき、ポスター賞を頂く運びとな
りました。思いも寄らない受賞であり、大変名誉なことと感じると同時に恐縮し
ています。
今回のフォーラムでは、新しいワイドギャップ・バッファ層として禁制帯幅の制
御が可能なZnO系薄膜について報告をいたしました。CIGS 系薄膜太陽電池に
おいては、バッファ層が極めて重要な役割を担っています。ヘテロ接合における
バンド不整合の観点から、光吸収層材料との間で適切な値を有するワイドギャッ
プ・バッファ材料が必要であると考えられています。したがって、現在用いられ
ているCdS よりも禁制帯幅の広いバッファ層が必要となります。さらに、バンド
オフセットが最適となる禁制帯幅に調整する必要があります。今回報告をさせて
いただいた、バンドエンジニアリングが可能なZnO系薄膜を用いればCIGS
太陽電池の性能をさらに向上させることが可能だと考えられます。今後は薄膜の
さらなる最適化を行い、CIGS太陽電池の性能向上を目指していきます。
発表中、多くの先生方や企業の方がポスターの前に来ていただき、本当に緊張し
た発表になりましたが、とても有益な議論ができたのではないかと思っていま
す。活躍されている研究者の方々と直接お話ができ、自分自身の研究について更
なる理解を得ることができました。
この喜びを励みとして、今後の研究に邁進していきたいと思います。そして今回
の研究においてご指導を賜った諸先生方、またお力を貸していただいた産業技術
総合研究所 太陽光発電研究センター化合物薄膜チームの方々をはじめ、大阪市
立工業研究所の皆様にこの場を借りて心より感謝いたします。ありがとうござい
ました。