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「フォーラムに参加して」
岡山県工業技術センター 機械系技術部 金属材料グループ
岡野雅子

はじめに、いろいろな巡り合わせと偶然によりこのフォーラムに参加できたこと、そのうえ栄えある賞を頂いたことは何よりも有り難く、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

当初は、微細組織観察用試料作製の前処理装置(ミクロトーム)を教わり、Snめっき研究の一部を指示通り手伝っていました。それから数ヵ月後、突然「発表に行こう」「発表には面白い評価方法を盛り込こもう」と提案して頂いたのです。

こうして、微細構造解析における新たな試みとなる「連続断面観察による3次元情報構築」を紹介され、いずれ材料内部の不均一性を評価するにあたり、まずこの方法の有用性を確認する作業に携わりました。それは、ウイスカ近傍をミクロトームで100nm切削・FIBで撮影と、装置間を往復して撮り溜めた約50枚のSIM像を、1枚ずつ画像処理していく、細やかで長時間に渡るものでした。

様々な場面で何度も失敗しましたが、諸先輩方から御協力、御指導を賜りながら、めっき皮膜と基板との界面における金属間化合物(Cu6Sn5)の不均一成長を3次元的に可視化させることができました。初めて映像を見た時は、素直に感動し達成を嬉しく思いました。

また発表をする上で、始めて聞く人にも分かり易く説明することが非常に重要であり、そのためには「何故そうなるのか」「そうすべきなのか」と常に問題意識を忘れずに、自分の言葉で説明出来るまで考え抜くことが不可欠であると教わりました。理解を深める努力が、この発表をさらに有意義な経験にしたと思います。

今回の受賞に於いては、周囲の御助力に支えられたからこそ訪れた幸いです。この朗報を一緒に喜んでくれた方々の御尽力と与えられた環境に、今も心から感謝しています。