「最優秀講演賞受賞にあたって」
岡山県工業技術センター
村上 浩二 (むらかみ こうじ)
この度、第7回関西表面技術フォーラムにおいて最優秀講演賞を頂きましたことに対し、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
本フォーラムに参加するそもそものきっかけは、2002年春頃に上司からアルミニウム合金表面のジンケート皮膜の分析を依頼されたことだったと記憶しています。
当時の私は、FEオージェの分析を担当し始めた頃で、恥ずかしながら表面処理自体について深く考えることなく、言われるままに表面の観察・分析のみを行っておりました。
それと同時期に関係し始めた、無電解ニッケル-リンめっき皮膜の基板への密着強度の定量化実験を通して、めっき前処理としてのジンケート処理の条件によって、めっき皮膜の密着強度が大きく変化することを知り、皮膜表面のみならず、皮膜と基板との界面の観察・分析へと興味の対象が移って参りました。
更にそれと時を同じくして、FIB・透過電子顕微鏡等の使用に対して周囲の方々から多岐に渡る御支援・御助言を頂き、表面・断面・界面の観察・分析結果から、皮膜の密着性について研究着手当初よりも深く議論することが可能になったと思います。
この様な経緯で数年間取り組んでいる内容ではありますが、現段階では得られた皮膜の性質についての議論が主体で、それらが形成される過程の電気化学的検証ならびに考察に対しては、多くの学ぶべき事柄が手付かずの状態であり、表面処理に関しては、まだまだ若輩者であると感じざるを得ません。
研究の着手に始まり、これまでに多くの好機を与えて下さった皆様に感謝申し上げるとともに、その期待に応え、私の本分である地域産業の発展に貢献すべく、今後の更なる努力を決意する次第です。