「マグネシウム製品への導電性陽極酸化処理の開発」
堀金属表面処理工業株式会社 業務課
西條 充司
この度は、第6回関西表面技術フォーラムにおきまして、優秀講演賞という素晴らしい賞を頂きましてこの場を借りましてお礼申し上げます。
さて、今回発表致しました、マグネシウム筐体に対する導電性陽極酸化皮膜処理について簡単に御紹介させて頂きたいと思います。
弊社では、今から6年前にMgへのクロムフリー陽極酸化技術に着目、着手し、それから約4年間、岡山県工業技術センターと共同で研究を行い、クロムなどの重金属を全く使用せず、環境に優しく、リサイクル性が容易であり、化成処理に比べ低抵抗皮膜としても安定性に優れる導電性陽極酸化処理の開発に成功しました。また、同年に、岡山県工業技術センターと共同にて国内特許出願、更に翌年には国際特許出願を行ないました。
生産の面ではと言うと、導電性陽極酸化技術が開発され最初に量産されたのが、デジタルカメラ(ディマージュ7i・ミノルタカメラ)で、20万セット以上を市場に出させて頂くことが出来、その後、auやボーダフォンの携帯電話筐体に採用され、200万台以上の生産を行なうことが出来ました。
順風満帆に物事が進んだように思われるかもしれませんが、開発当初は、コスト面や従来方法からの切り替えも難しく、弊社のみでの営業展開だけでは、なかなかお客様に受け入れられにくく、製品化へは遠かった時期もありました。
現在では、電気・電子製品だけではなく、車両関係の展開にも努め、生産量も増加しており、今回のようなフォーラム等での発表や、学会誌等の掲載の効果も大きかったのではないかと思います。
最後に、この技術の開発に際し、御助力下さった岡山県工業技術センターをはじめ、多くの皆様方に厚くお礼を申し上げます。